ただモノを並べても、買ってもらえない時代になりました。選ばれるためには、「提案力」が重要です。

アイデアの種

以前、うどんを作る製麺所からSOSのご相談がありました。

商品の売り上げがやや下がり気味なので、取引先の新規開拓で、なんとか回復したいというオーダー。

その製麺所のうどんは美味しく、味で劣るわけではありません。食の多様化とともに選択肢が広がったため、うどんの需要が減ってきているのではないか、というのが社長さんの見解でした。

何度かのミーティングを重ね、新規開拓は、普通のうどん屋さんはもちろん、イタリアンやフレンチ、中華料理など、普段うどんを取り扱うことのないお店にもアタックしようということになりました。

アタックするためにはツールが必要です。全然必要性を感じていない顧客に、必要だと気づいてもらえるような、アイデアを喚起するツール。

そこで、うどんを使ったレシピ集のパンフレットを作ることにしました。製麺所の女性従業員さん達と私、当社のスタッフとで、連日うどんを使ったレシピを考え、試作&試食の繰り返し。

イタリアン風、ピザアレンジ、タイ風、サラダに使うパターン、揚げてフレンチ風にソースを絡めたもの、細かく刻んでスイーツにしたもの……。

プロジェクトチームの皆で、来る日も来る日も、朝も昼も夜も新作うどんを食べ続け、試作品を撮影し、35パターンのうどんレシピの詰まったパンフレットが完成しました。

さて準備は整い、営業開始です。

そのパンフレットを持って営業に回ってもらったところ、これまでのうどん屋さんとは違う、レストランやカフェからも徐々に注文が入りだしました。

もちろん、私達が考えたレシピはプロには及びませんが、そのパンフレットを見たシェフや料理人さん、カフェオーナーに、

「うどん、っていう食材はありかも。うちも考えてみよう」

と思ってもらえたのです。

また、既存の取引先のうどん屋さんにも配布したところ、新メニューのヒントになる、と喜ばれ、こちらも注文数が増えたそうです。

これからの時代、ただ売るだけでは、なかなか選んでもらえません。お客さんに自分を必要だと思ってもらう「提案」が重要な要素になります。

どういう切り口で自分を魅せるか。
どうイマジネーションをかき立て、欲しいと思ってもらうか。
どんな提案をするかで、売り上げは変わってくるのです。

 ※  ※  ※

後日談。

製麺所の社長から、徐々に売り上げが上がっているといううれしい報告を受け、スタッフと共に喜び合いました。

「本当によかったですね」
「ねー。でもこのプロジェクトで、もう一生分のうどんを食べた気がする」
「確かに」

などと話していたら、事務所に大きな段ボールが届きました。

送り主は製麺所の社長、中にはお手紙。

『このたびは誠にありがとうございました。
 大変感謝しています。
 つきましては、ほんの気持ちですが
 お納めください』

段ボールの中身は、いっぱいに詰まったうどんでした。

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