いよいよ作文教室も最後の回になりました。
今回もお時間ある時にゆっくりお読みになって課題にチャレンジしてくださいね。
今回も文章における「とんちユーモア」についてのレクチャーです。
文章(思考)がおもしろいを書く
前回の講義でお伝えしたように、文章におけるとんちユーモアは2種類に分けられます。
- 話(出来事)がおもしろい
- 文章(思考)がおもしろい
前回はこの上段の「おもしろかったことをおもしろく書く」をテーマに文章を作っていただきました。
今回は下段の、「文章(思考)が面白い」にチャレンジしていただきます。
今回は先に課題を発表してしまいますが、
課題18🌼「特におもしろくもないことをおもしろく書く」
です。
文章(思考)がおもしろいとは
前回は、おもしろい出来事をおもしろく書く、という観察と構成がポイントになる題材でした。
今回は「特におもしろくもないような題材」を元に、考えたこと(思考)、文章表現(たとえや比喩、言い回し)などでおもしろくするという、とんちユーモアの「錬金術」的なテーマです。
今度は前回よりも、さらに練られたアイデアが必要になります。
コミカルに書かれたものは、読者もサラッと楽しく読めるため、時として文章としては軽く見えがちですが、何重にも張られた意図や伏線があるからこそ、おもしろく読めるのです。
とんちユーモアの文章での効能
前回の講義でもお伝えしたように、「とんちユーモア」というテーマは難関です。読者の中に「おもしろい!」という感情を起こすことは、文章表現の中でもなかなか難しいものです。
ですが、とんちユーモアを自在に書きこなせるようになると、他の感情を伝えることも、ずっと楽に表現できるようになります。
またとんちユーモアで包んだ文章なら、厳しい意見や指摘も相手に受けとってもらいやすくなります。
とんちユーモアは、読者にとっての優しさでもあるのです。
おもしろくなりそうな素材を言葉にするコツ
とくにおもしろくない素材を元に、おもしろい文章を書くためのコツをお伝えします。
視点・観察【ココ重要!】
物事を「どう書いたらおもしろく伝えられるか」という視点から考えます。その視点で世界を見ると、何気ない日常の中におもしろく切り取れる素材はたくさん転がっています。
そのセンサーを意識して、「おもしろくなりそうなもの探し」をしましょう。
ウィットに富んだユーモア、シニカルな笑い、ほのぼのする微笑み、いろんなパターンのものが見つかるはずです。
思考・アイデア
見つけた素材に考えたことや、たとえや比喩など、言葉を加え、おもしろく料理していきます。
特に「出来事」=「的確な比喩」が組み合わせられた時、そこにおもしろさが発生します。
アイデアと企画を練りましょう。
構成
話の流れをスムーズに、「間」を意識して、おもしろさが一番際立つ構成を組み立てましょう。
表現力
読者の頭の中に伝えたいことが浮かべば、より話題が伝わりやすくなります。これまでにお伝えしてきた数々の表現手法を駆使して書いてみてください。
参考例文
参考例文を書きましたので、構造の参考にしてみてください。ちょっと長めです。(400字弱)
先日呉服屋へ小物を買いに行った。腰ひも440円だ。
代金を払っていると、「お着物、着られるんですか?」
と着物姿のチャラチャラした感じの男性がにじり寄ってきた。ネームカードを見ると「店長」とある。「はい」と答えたが、私の着物はお遊びのようなもの。デニムにコットン、お着物でございます、と言えるようなシロモノではない。
「でしたらね、奥さまだけにね、すっごくいいお話しちゃおうかな」
と店長さんは声をひそめて言い、反物をくるくる広げて並べた後、
「奥さまだけに(口癖らしい)、帯とセットでこの値段で……、いや、奥さまなら、うーんもうちょっとがんばって、ヨシこの値段!」
と電卓を叩いて見せてきたのは、「880,000円」。
奥さまなら、って私の何を知る!? 会って10分も経ってないのに、440円のものを買いに来た客が、ついでに880,000円の着物買う!? チャレンジなのか。店長さんのがんばりが一切分からない。
丁重にお断りして帰ったが、後日その店からDMが届いた。
「お着物大大大セール!」と銘打ったそのチラシには、どこにも店名が記されていなかった。
店名も抜けているし、間も抜けている。いろいろ不思議だ。
↓
【出来事】
440円の着物小物を買いに行ったら、めちゃめちゃ強引なセールスをされた。
しかも後日DMが届いたら店名が入っていなかった。
前回の講義も参考にしてくださいね。
「とんちユーモアを作る視点」
「とんちユーモアを書くコツ」
は前回の講義と同様なので、今回の講義と併せて参考にしてください。
↓ ↓ ↓
https://studio-d-light.com/blog/sakubun17/
ではラストの課題に行ってみましょう。
課題18🌼「特におもしろくないことをおもしろく書く」
さて今回の課題は、「特におもしろくないこと」を、「おもしろく書いて」ください。
視点が重要です。書きやすい素材探しに時間を使いましょう。
今回は、思考や描写に文字数を使うので、400字くらいだとまとめやすいと思います。もちろん200字でもOK。
ではでは、投稿をお待ちしていますね🌼