見直すだけでそんなに変わる⁉【広告添削】近江のほっこりスマホ教室「ちいラボ」さんの場合

チラシ添削

広告プランナー、集客と販売促進の企画制作プロデューサー兼アートディレクター。株式会社スタジオ・ディライト代表取締役。

全国各地の有名企業から小規模事業まで、500社を超えるクライアントのプロジェクトに参画。広告や店舗の企画制作プロデュースから、ワークショップなど集客に関わる企画で幅広く活動中。
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コロナ禍が様々なビジネスにじわじわと暗い影を落とし始めています。商売する人があってこその広告業に携わる私としては、コロナ禍で厳しい状況の中、個人店・中小企業さんが次々閉店していくのが、切なくて堪りません。

――商売をする側も、お客さんにうまくメッセージを伝えることが出来ていたら、少しは違ったのかも……。

そんな思いの中、私に出来ることを出来る範囲でしよう、という動機から、手が空いている時限定「無料の広告添削」を昨年の11月末に実施しました。

普段のお仕事は契約上、舞台裏は明かせないのですが、今回は無料な代わりにやりとりを公開しても大丈夫という条件での広告添削を募集。

添削された方には直接、改善案を理解して頂け、またこうしてシェアすることで、業種は違っても、考え方や伝え方がシェアできるのではないかと考えたのです。

そこで、ツイッターでこのような発信をしました。

このツイッターでの呼びかけに、滋賀県大津市のスマホ・パソコン教室「ちいラボ」さんが応じてくださって、折込チラシの添削をすることに。

◆ほっこりスマホ教室「ちいラボ」
 https://chiilabo.com/
 ツイッター @chiilabo

ちいラボさんは、年配の方を中心に、パソコンやスマホ、タブレットの使い方をマンツーマンで教える教室です。

以前、教室の体験レッスンを勧める折込チラシを近隣に1万部配布したところ、反応が芳しくなく、もっと問い合わせが増やせたら……とのこと。

そのチラシがコチラ。

ちいラボさんチラシ【表面】添削前
ちいラボさんチラシ【裏面】添削前

そうかー、なるほどー……。
これは手を加えれば反応がかなり変わる、と思いました。

内容をじっくり拝見して、いくつかの不明点があったので、質問項目をお送りし、チラシの対象者や訴求ポイント、ちいラボさんの授業スタイルなど、細かくヒアリング。

質問に答えてくださる過程で、ちいラボさんのほうでも、チラシに入れるべき内容がより明確になられたように思います。

何回かのやりとりを重ね、具体的な添削に入ります。

以下が上記のチラシを拝見して、私からちいラボさんにお送りした添削内容。

まず初めに、本チラシの目的を再確認しますね。
 

◆このチラシの目的(チラシの中で明確にする点)
 
①誰が/スマホ教室ちいラボ
②誰に/スマホの使い方が分からず困っている60~80代の女性
③何を伝える?/
・ちいラボなら、優しいマンツーマンレッスンであなたのお悩みを解決できる
・単発レッスンなので自分のペースで通える
・そのためのお得な体験レッスンがある
④どうしてほしいか/電話で問い合わせ・申し込みしてほしい
 
上記をふまえて、現在のチラシの課題点と改善点をお伝えします。意図をご理解いただければ今後のチラシ作りにも役立つと思いますので、忌憚なくお伝えしますね。
 
◆現在のチラシの課題点改善案
 
●色使い、配置などの全体的なイメージが男性的な印象。一番トップが黒、0円が赤など、対象者である60~80代の女性向けであるなら、色遣いがちょっと強め。目立つようにしながらも「ほっこりスマホ教室」という優しい印象は伝えたい
 
また、先生方のお人柄(ツイートや、ツイートされている黒板の内容を拝見していて感じる優しさ、穏やかさ)が伝わるような内容にしたい
 
【改善案】→全体的なデザインで、先生が優しそう、気軽に行ける教室というイメージを出す
・色使いはちいラボのロゴイメージを踏襲する
・女性視点を意識して文章も優しく、かみくだいたものにする
・イラストを多用し、女性らしい、やさしいイメージに変える
 
●パッと見の印象は、スマホの画像と「無料」「0円」が目立ち、スマホ教室であることが分かりにくい
(もしかするとスマホ乗り換え0円、のチラシと勘違いされて、情報が伝わっていない可能性もあります)
 
【改善案】→0円は目立たせながらも、売り込み感を出さない
 
また、
 
 0円なら→スマホ教室に行こう
 
よりも
 
 スマホ教室に興味→なんと0円!
 
という流れで受け止められたほうが、今後に繋がりやすいお客さんが集まるからです。
 
●読者に与えられるものを提示するキャッチコピーが無い
 
【改善案】→キャッチコピー、メインビジュアルを一瞬でそれと分かるものに変更(レッスン後「スッキリしましたか?」と聞かれるワードを入れる)
 
問題提起「スマホの使い方 よくわからない……」
解決提示「ほっこりスマホ教室ちいラボで、あなたのお悩みをスッキリ!」
 
人が、チラシの内容が自分に関係あるかどうか、興味があるかを判断するのは、チラシを目にして0.3秒と言われています。
「私に関係ある!」と思ってもらう掴みが重要です。
 
●情報の流れが前後して配置されているので、読者が順番に読みやすい流れに変えた方がよい
【改善案】→情報を整理する
 
全体の流れは起承転結で考えるとスムーズです。
 
起 こんなことで困っていませんか、ちいラボなら解決できます
  問題提起(読者に寄り添う)
  →解決案の提示(ちいラボならできる!)
承 無料体験レッスンをやっています
転 さて授業内容の詳細は?→ちいラボの魅力紹介
結 まずはお電話で問い合わせてくださいね
 
●情報量が足りない
【改善案】→興味を持った人が知りたい情報を入れたい
 
それにより文字が増えますが、キャッチコピーで興味を引き、見出しだけ読んでも全体の内容が掴め、さらに興味のある読者に詳しく読んでもらえるような構成にしたほうが、読者が不明感→不安感を持たずに問い合わせにつながると思います。
 
●ユーザーの声を入れた方が安心感、期待感が高まる
【改善案】→質問の回答で教えていただいた声を入れる
 
●無料体験の内容が分かりにくい
【改善案】→裏面のどんな授業?と合わせて授業内容を紹介する
 
●マンツーマンで指導してもらえることがよく読まないと分からない
【改善案】→読者はササっと流し読みして判断するため、これは分かりやすく伝えたい点。ちいラボの授業スタイルを分かりやすく説明する
 
●ちいラボを選ぶメリットである「各種費用0円」が分かりにくく、同業他社との違いを訴求しきれていない
【改善案】→コーナーを作って、詳しい説明をする
 
●「どんな授業?」の欄の項目がバラついて配置されているのが、対象者の年齢では読みづらい可能性がある
【改善案】→箇条書きにして、授業内容と並べて紹介する
 
●一番下のインフォメーション部分に「スマホ教室ちいラボ」の名前が入っていないので、不明を感じさせている可能性がある(読者は一番上のロゴを見逃すことも多いのです)
【改善案】→表面、裏面ともに下部にもロゴと店名を入れる
 
●電話でのお問い合せをメインにするなら電話番号を目立たせた方がよい
【改善案】→電話番号を大きく表記
 
【改善案】 インフォメーションの欄に、ちいラボさんのホームページの記載を入れる。→スマホ・パソコン教室のチラシならURLが入っていたほうが安心感を与えるため。

また年配の女性はホームページを見ることが出来なくても、ご家族などに「この教室行きたいんだけど、どう思う?」と相談した場合、第三者がホームページを見る可能性が高いからです。

これに対して、ちいラボさんからこんなお返事を頂きました。

チラシの添削、目からうろこでした。
 
これまで、高齢者の方には文章を減らす方がよいのか、と思いこんでいて、減らす方で考えていました。
 
今回、添削いただいて、自分たちには当たり前でも、知らない相手には伝わらない、ということを再認識しました。

確かに高齢者の方に向けた販促物は、文章が多くないほうがよい場合もあります。ですが、今回は折込チラシですので、「読み物」に挟まれて届けられる販促ツールであることを考えると、「知りたい情報なら読む」人たちの元へ届けられるため、必要な情報は入っていたほうがよいのです。

この辺りは、どんな販促ツールを使うかによって考える必要がありますね。

そして年が明けて1月に折り込まれた、添削改善後のチラシがコチラ。

ちいラボさんチラシ【表面】添削後
ちいラボさんチラシ【裏面】添削後

さて、どのように反応が変わるでしょうか。
私もドキドキしながら、ちいラボさんに結果を聞いたところ……

なんと問い合せ、ゼロー!
緊急事態宣言発令とバッティング!

――コロナめ、やってくれるな……。

ところが数日後、ちいラボさんからご連絡が。

折り込み日からしばらく経ってから徐々に問い合わせ件数が増えてきたとのこと。

結果的に問い合わせ件数は、緊急事態宣言と重なってしまうという事態にも関わらず、以前のチラシに比べて「3.5倍」に増加。当初ちいラボさんにお伺いしていた目標を超えて達成。

ハー、焦ったー。
全力でホッとしましたー、胸をなでおろしました。

これは逆にうれしい発見でもありました。数日経ってから問い合わせがあったということは、新聞に折り込まれたチラシを「この状況が落ち着いたら連絡してみよう」「何かあった時のために取っておこう」「大事なことが書いてあるお知らせ」と認識して保存していた方が多数いらしたということです。

ということは今すぐのリアクションでなくても、潜在的なニーズを持った方々にも届いている可能性があります。

ちいラボさんの想いやメッセージが届いて、伝えたい人に受け取ってもらえたということです。

やりとりの中、ちいラボさんから、こんな温かい言葉をいただきました。

なるほど!と何度も勉強になりました(#^^#)
 
流れを意識して、伝えたいことをわかりやすくしっかりと伝える大切さ、
 
色合いやイラストの使い方や配置、スマホ教室であることの見え方、文字は多くてもいいんだ~などなどたくさん学ばせて頂きました。
 
ひらまりさんの添削アドバイスは、見て下さる方の心情や視点に添っていて、私が一番伝えたかった優しさや安心感が一杯詰まっておりました。
今後チラシを作るうえでの、ちいラボの宝物です。

うれしくて、感激して何度も読んでしまいました。
広告プランナー冥利に尽きます。

私こそ、シニアの方が新しい機器を使いこなして生活を豊かにするお手伝いをされているちいラボさんの、さらにお手伝いが出来て、とても勉強になりました。

チラシは情報をきちんと整理し、相手にとって分かりやすく魅力的に伝えれば、反応があるツールです。イチかバチかの賭けではなくて、正しい順序で必要な情報が盛り込まれていれば、伝えたい人に届きます。
見直すだけで、反応は本当に変わるのです。

また、手が空きましたらツイッターでチラシ無料添削の募集をしますので、チラシの反応が悪い……とお困りの方、タイミングが合えばぜひお声がけくださいね。

ひらまりツイッターはこちら→@hiramari8

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