あの日の後悔。伝えよう、伝えられるうちに。

日々の学び・発見

広告プランナー、集客と販売促進の企画制作プロデューサー兼アートディレクター。株式会社スタジオ・ディライト代表取締役。

全国各地の有名企業から小規模事業まで、500社を超えるクライアントのプロジェクトに参画。広告や店舗の企画制作プロデュースから、ワークショップなど集客に関わる企画で幅広く活動中。
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今日は父の命日でした。

遠いむかしむかしの話ですが、私が小学4年生の頃。
父は単身赴任で、週末だけ帰ってくるという生活でした。
お土産は本か、パズル。毎週楽しみにしていたのですが、その週は見たこともないパズルをくれました。

「これはルービックキューブって言って、こうしてガチャガチャに組み替えたブロックを、色を揃えて元に戻すんだ」

そう言うと父は、ガチャガチャにしたブロックを、くるくる回転させ、色を揃えて戻してみせました。

「すごい! へぇー、やってみる!」

父はまた、揃ったブロックをガチャガチャに組み替えて私に手渡し、

「来週お父さんが帰ってくるまでに元に戻せたら、なんでも欲しいものを買ってあげるよ」
「本当に? なんでもいいの?」
「うん。がんばって挑戦してごらん」

そして月曜になり、父はまた単身赴任先へ戻って行きました。

「よーし、今週中に絶対解いてやる!」

私は意気込んでチャレンジしましたが、なかなか手強く、あとちょっとで揃うところまで行きそうで、全部のブロックがキレイに揃わないのです。
木曜日まで悪戦苦闘した私は、キューブを投げ出し、ふてくされました。

金曜の夜、父から電話がありました。母と話した後、父は私に電話を変わってほしい、と母に言ったようなのですが、すっかりすねていた私は「(電話に)出ない!」と答えました。
それに、明日になったらまた父は帰ってくるのですから、明日降参して、一緒にルービックキューブで遊べばいいや、と思ったのです。

しかしその晩、父は単身赴任先の宿舎で急逝。
もう2度と話すことは叶わなくなってしまいました。

冷たくなって帰ってきた父の横で私は、ルービックキューブを握りしめ、茫然とただただ座っていました。

あの時、私がふてくされず電話に出ていたら……

「帰ってきたら、やり方教えて、お父さん」
「明日は一緒に遊ぼう!」
「お父さん、大好き!」

いくらでも伝えるべきことがあったのに、私はその機会をすねて見過ごしてしまった……数十年たった今も時折胸がチクリと痛みます。
そして学んだことがあります。

伝えるのは大事なこと。
ありがとうでも大好きでも、大切な想いは今、伝えよう。
伝えられるうちに、伝えよう。

……ちなみに今でも私は、ルービックキューブが解けないままです。いつか父の元へ行ったら、解き方を教えてもらおうと思っています。

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