チラシは、デジタルメディアが浸透した今もなお、折り込み、ポスティング、郵送など、的確に使えば高い効果が期待できる媒体です。
今回の記事では、反応率が上がる効果的なチラシの基本的な作り方をご紹介します。知ってしまえば当たり前のことですが、意外と見落としがちなポイントもあるので再確認してください。
また、今回ご紹介するチラシの作り方や考え方は、様々な販促物に応用できます。
では基本に忠実に、効果的なチラシ作りにトライしましょう。
はじめに…チラシ作りで気をつける3つのポイント
チラシ作りをする時に、多くの人が間違えてしまうポイントがあります。この3つのポイントは特に留意しておきましょう。
①制作会社に依頼する時は丸投げしない
商品情報だけを伝えて、後は制作会社や印刷会社に丸投げ……というチラシは、よほど運がよくないと自分のイメージ通りの効果は期待できません。
そういった場合、多くのケースは制作会社の技量が足りないのではなく、発信者の情報の伝え方が足りないのです。
制作を外部に依頼する場合も、企画はまず自分で原案を作り、文章もなるべく自分の言葉を入れるところまで考えてみましょう。
②イメージから入らない
スタイリッシュ、インパクトがある、オシャレ、またはナチュラルでシックな感じ……など、イメージ先行でチラシを作らないようにしましょう。
ついつい誰もがやりがちなミスで、お洒落だけど、目立つけど、何も伝わってこないチラシを度々見かけます。推理しないと理解できないチラシはダメチラシです。
デザインは重要な要素ですが、チラシ作りにおいて必須なのは、伝える内容を適切に表現してくれるデザインです。デザインは内容が決まってから考えるものです。
チラシの役割は、あなたのメッセージを届けたい相手にきちんと届けること。デザインはチラシに入れる内容が定まってから、それにふさわしいデザインを考えましょう。もしくは依頼しましょう。
③大事なのは「順番」ですよ
チラシ作りの工程には、大きく分けると4つのステップがあります。
①情報整理&企画
②原稿作成
③デザイン
④チェック
です。
料理と同じで、素材を鍋に入れて煮出してから鍋の中で素材を切ろうとしてもうまくいかないように、チラシ作りも順番が大事。
料理もチラシも順番を間違えると、出来上がりはするかもしれませんが、まぐれが起きない限り評判のよくないものになってしまいます。
下ごしらえと順番が本当に肝心です。
チラシは結果がどうなるか、イチかバチかで出すものではありません。
商品やサービスが良くて、きちんと流れを考慮して組み立てられた誠実なメッセージであれば、望む読者層の元へ届きます。
効果的なチラシ作りのために、下記の手順を参考にしてくださいね。
チラシ作りには「書き出す」行為が必須
はじめに必要な情報整理をして、企画を考えていきます。ノートを用意して、たくさん書き出していましょう。
……と書いても、サラサラと流し読みしようと思われる方が多いものですが、本気で効果のあるチラシを作りたいとお考えであれば、ノートのご用意を。
自分の頭の中の整理、想像力の喚起には、書き出すことが一番です。
ていねいに書く必要はなく、読めれば走り書きでもかまわないので、どうぞ書き出してみてください。
では、チラシ作りで一番重要な情報整理&企画から。
1)情報整理&企画
まずは以下の7つの情報を書き出して、チラシ作りの原案の元を作ります。ふわふわしたイメージを具体化し、整理するために、そして気づいていなかった足りない情報を補うために必要な工程です。
書き出すのは、以下の内容。
①このチラシの目標は?
作成するチラシの目標を決めます。
これは、具体的な数字での目標です。
「新商品紹介で客単価を〇%上げたい!」
「問い合わせ件数を〇人以上にしたい!」
などといった、チラシを出す具体的な目標です。
ここをハッキリさせておかないと、ただ雰囲気でチラシを撒いただけ、という気持ちだけ満足状態になってしまうので、きちんと目標を立てましょう。
チラシを出すのなら具体的な成果目標を立てておくのは必須です。目標を達成した時、及ばなかった時、さらにより良く改善するための目安になるからです。
そのチラシで、あなたはどんな目標を立てますか?
②誰に届けるチラシ?
あなたがチラシを届けたい相手です。なるべく対象を絞り込んで考えます。
「うちのサービスは誰にでも利用してもらえるから、みんなに届けたいんだよ」という考え方は危険です。汎用性を高くすると、チラシの内容がぼやけてしまい、かえって誰にも届かないチラシになってしまいます。
チラシを受け取るその人はどんな人でしょう。
男性? 女性?
年齢層は?
どんなライフスタイル?
どんなことをしたら喜ぶ?
どんなことを考える?
……など、思いつくことをどんどん書き出して、対象層を具体的にイメージできるように考えましょう。
身近にチラシの読者層になりそうな人がいたら、その人をモデルに考えるのも有効です。
「多くの人」ではなく、読者が「1人の人間」として明確になってくると、どういうアプローチが効果的なのかも明確になります。
③発信する人は誰?
あなたについての情報を書き出しましょう。
商品やサービスの紹介に熱を入れるあまり、発信者が誰なのか手薄な表記になってしまい、身元不明になっているチラシをよく見かけます。
全国レベルの知名度を持つ企業でない限り、自分が何者なのか、どういった存在なのか、身元を明らかにしましょう。発信元が不明な情報=そのチラシは信用してもらえません。
URLやSNS、電話番号、住所などの必要な情報を記載するとともに、自分がどんな仕事をしているのか、どんな姿勢で仕事をしているかなどが分かるキャッチコピーや説明が入るとなお良しです。
世の中の多くの商品が「良い製品」になってきている今の時代、発信者の身元=簡単なプロフィールは、購入の決め手にもなる重要なポイントです。
チラシ下部の小さなスペースになりますが、発信者の想いやメッセージを入れることで、読者層に安心を与えるコーナーにすることが出来ます。
発信者情報をはっきり提示しましょう。
④伝える内容を絞ろう
チラシ作りで留意したいのは「1チラシ1テーマに限る」という大原則です。
「この商品があなたにこんな素敵なことをもたらすから(またはあなたのお悩みを解決してくれるから)買ってね」というのが1テーマ。
また、せっかくチラシ入れるんだからと情報を盛り込みたくなるのは分かりますが、情報量が増えるほど、読者の注意は散漫になり、「ごちゃごちゃしてるから見なくていいや」となりますので要注意。
例えば、プロポーズする時、
「僕と結婚してほしい。ところで同僚の田中、辞めるんだって。それと僕の入ってるサッカーチームの試合、来週あるから見に来てよ。で、結婚してくれるかな?」
……と伝えたら、結婚したいの? 何が言いたいの? ついでなの?と相手を戸惑わせてしまいます。本意が伝わらない上にドラマチックな瞬間がぶちこわしです。メインがぼやけてしまうのです。
チラシも同様。
例えば居酒屋さんで
「昼のランチ始めました!」「氷見漁港直送の新鮮な魚をその場でさばいてご提供!」「7時までに来店のお客様生ビール1杯無料サービス!」「全国各地から揃えた銘酒、飲み放題キャンペーン実施中!」「ママ友グループランチも大歓迎!」……e.t.c.
と、盛りだくさんに煽られては、どこを見ていいのか分からず目が滑り、読者が混乱します。混乱しているうちに誰かからのLINEやSNSの通知が「ピロリン♫」と来て、そちらを見に行ったとたん、あなたのチラシのことなどもうすっかり忘れてしまいます。
「1チラシには1テーマ」
「1チラシには1テーマ」
2回言うほど重要なので忘れないでくださいね。
※企画内容によっては本筋に関係のある内容はコーナーを作って入れると有効なケースもあります。
また、チラシを読んだ読者に取ってほしいアクションも絞りましょう。
買ってほしい、来てほしい、知ってほしい、問い合わせてほしい、などいろんなアクションが想定されますが、どれかひとつを目立たせたほうが、読者を迷わせることなく誘導できます。
⑤チラシの有効期間はどうする?
チラシでアピールする内容でキャンペーンや特典などがある場合は、期限を切った方が効果が高くなります。
無期限なら、いつでも行ける、いつでも買えると思うと「また今度でいいかー」「そのうち行こう」と思われてしまいがち。そして忘れられてしまいがち。
あなたのお財布にも、無期限の割引券など入りっぱなしになっていませんか?
「このチラシは来月末まで有効です」などの期限を設定することで、「それまでに行かなくちゃ損をした気分」という心理状態になります。期限を切ることが、行動を促すサポートになるのです。
チラシのサービス期間には、できるだけ有効期限を入れましょう。
⑥チラシの読者にはどんなメリットがもたらせる?
あなたのチラシに反応することで、「読者にはどんなメリットが与えられるのか」をじっくり考えましょう。
ちなみにこれをマーケティング用語では「ベネフィット」と言います。覚えなくても全然かまいませんが、お客さんのメリットを「お客さん目線で」考えましょう。
例えば
「この商品を手に入れることで、もっと素敵な私になれるかも」
「このサロンに行けば、贅沢一人時間が手に入りそう」
「楽しいことがありそう」
「私の悩みが改善しそう」
などなど。
基本的に人は「自分軸」でモノを考えます。よかれと思って喧伝するサービスや商品のスペックの紹介は、押し付けるだけの情報になってしまい、「売り込み? 今は別にいらない」と思われてしまうもの。
読者に「自分には関係ない話」と思われてしまわないよう、常に「読者目線」で考えることを忘れないようにしましょう。
⑦どんな切り口で行く?
上記の⑥つの項目を書き出してみたところで、それらを俯瞰し、チラシの切り口を決めます。
例えばヘアサロンなら、同じ「ヘアカット」という商品の場合でも、
対象層/子育て中のママ(30~40代)
「疲れたママにご褒美時間。時々は自分を労わってまた明日からリフレッシュしてがんばりましょう。ホッとする時間をご提供します。ご来店予約はこちら」
または、
対象層/働く女性(30代前後)
「仕事もプライベートもどっちも大切なあなたは、いつも輝いてますね。行動的なあなたの魅力をますます引き立たせるお手伝いはおまかせください。ご来店予約はこちら」
といった、切り口=上記で決めた想定層に合うストーリーの元を書き出します。
上の項目を埋めていくと、この切り口を決めるのに必要な
「誰に、誰が、何を提供する。
対象層にはどんな行動を取ってほしいか」
がはっきりしてくるので、アイデアが浮かびやすくなります。
どんな切り口にするかで、チラシの内容が変わってきますので、ここは時間をかけてよく練りましょう。
さて、ここまで書き出すと、チラシの全体イメージ、ビジュアル、キャッチコピーがなんとなく頭に浮かんできた方も多いのではないでしょうか。
必要情報を書き出し、読者層を想定することが出来たところで、次はチラシの原稿、文章作成です。
2)チラシの原稿作成
企画のステップで書き出した内容を、今度は実際のチラシの原稿、文章に落とし込んでいきます。
原稿は、制作会社に依頼する場合でも一度は自分で書いてみましょう。頭の中を言語化できなければ人に伝えることが出来ません。伝えることが出来ないものは紙面に出来ません。
原稿を書く上でも、企画のステップから引き続き
「読者目線を忘れない」
ということが大切です。読んでもらう人の立場になって、「このチラシは『自分にとって』有用なことが書いてある」と思ってもらえるよう書きましょう。
①原稿を書くにあたり留意したいポイント
効果的なチラシを作るための原稿作りで大切なのは
「言いたいことを書くのではなく、
読者が知りたい情報に置き換える」
ことです。
・読者のことを考える
→読者は何を求めている?
→それに自分はどう応えられる?
→その答えをチラシで提示
・読者が読みやすい文章で書く
上の企画のステップで、「誰に届けるチラシ?」で考えた読者層が、読みやすい文体を考えましょう。文体は、想定した読者層を対象にした雑誌をいくつか読むと参考になります。文章の構成を考えて、読みやすい流れを意識しましょう。
また「読者の心をどうしたら動かせる?」という点を考えるのは非常に重要なことです。
これは、上記の企画のステップで考えた、「読者にはどんなメリットがもたらせる?」から、ふくらませて考えましょう。
②読者は、あなたのことやあなたの業界は知らない前提
また、チラシの読者はあなたやあなたの業界のことを何も知らない前提で文章を書きましょう。業界用語、専門用語、カタカナ語、略語を多用するのはNG。
不明なキーワードが出てくると、読者は親切に検索したりせず、そこで読むのを止めてしまいます。
また、難しい熟語、難しい漢字を使うのも避けましょう。読者の知的レベルを低く見積もるということではなく、チラシという存在自体が、ササっと流し読みされるツールだからです。
まずは流し読みの状態でもサラサラと頭に入ってくる文章でなければ、気に留めてじっくり読んでもらえません。なるべくかみ砕いた平易な言葉で文章をまとめましょう。
③起承転結で流れを考える
チラシの構成は、物語と同じく、起承転結で流れを考えると分かりやすい構成になります。
起ー目を引く目立つコピー
目を引くビジュアル
承ー購入するとこんないいことがあるよ
または、購入すると不安が解消されるよ
(読者へのメリットの提示)
転ーそれにはこれがおすすめ→商品説明
結ーお電話でお問い合せください
発信者情報
重要なのは「流れ」です。これはどの販促物にも言えますが、出だしから読者に取ってほしいアクションまでがスムーズに流れていればいるほど反応率が上がります。
チラシを作る前には文章で原稿を書きましょう。文章にすることで、スムーズに話を運べているか確認できます。足りない部分を補うこともできます。
原稿が出来たら、次はデザインについて考えましょう。
3)見てもらえるチラシのデザイン
①素材を集める
ここまで練ってきた内容を補足してくれる素材を集めましょう。資料などのデータや、あなたの伝えたいことを表現してくれる画像やイラストを探します。
制作会社に依頼する場合でも、「こんなイメージ」と伝えやすくなるので、よりスムーズに意図が伝えられるでしょう。
②まず目に留まるデザインを考える
上記の内容を表現するのに、どんなデザインがふさわしいか考えます。
アイキャッチになるビジュアルやコピーは、よく考えて配置しましょう。
人がチラシを見て、自分に関係あるか、読むべきか判断するのは一説に0.3秒と言われています。
最初の難関、0.3秒の印象勝負です。
ハッとするビジュアル、「自分に関係ある!」と思ってつい読んでしまうキャッチコピーを考えましょう。
②目に留めてもらえたら、スムーズに読み進められるようにする
アイキャッチで導入がうまく行ったら、レイアウトも流れを意識しましょう。デザイン的には優れていても、あちこちに情報が散漫しているチラシは読みにくく、どこから読んでいいか分からず、離脱する読者が増えてしまいます。
大きな見出しは紙面を横切っても縦切ってもかまいませんが、基本的に日本語のチラシの場合は、横書きなら左から右、下の段に降りて左から右、というのが自然な視線移動の流れです(縦書きなら右から左です。本と一緒です)。
コーナーで区切る場合は、次のコーナーにスムーズに移行する展開になっているかも考慮しましょう。
③想定する読者層に受け入れられるデザインにする
また、企画のステップで想定した読者層に受け入れられる、好まれるデザインが必要です。例えば、文字は小さく配置したほうがお洒落な雰囲気が出せたりもしますが、想定層が年配の方であれば、視認性が下がり離脱する可能性が高くなります。
ファミリー向けであれば楽しそうな演出、癒しをコンセプトにしているなら緊張させずホッとする雰囲気など、企画のステップで考えたことを元にデザインのコンセプトを決めます。
発信者側がどう見せたいかも大切にしつつ、「すべては読者側にどう認識されるか」を意識しましょう。
4)出来たチラシのチェック
①チラシを最初に考えた企画と照らし合わせる
完成後の紙面のチェックは、忘れがちですがとても重要です。チラシが出来上がったらもう一度、企画のステップで考えた各項目から、内容が外れていないかチェックしましょう。見逃しているポイントや、軸がブレている点に気が付いたら、その箇所は適宜修正、ブラッシュアップ。
②印刷する前に最後の見直し!第三者チェック
身の回りで自分の業務に関係のない(チラシの内容を把握していない)、第三者にも見てもらいましょう。忖度のないシビアな意見を言ってくれる人が適任です。
その時質問してほしいのが
・何が書いてあるか説明してくれる?
・このチラシの印象はどう?
・どんな人に向けて作ったチラシだと思う?
・これは何が言いたいチラシか分かる?
です。もし自分の意図と違ったら、修正したり、追加や補足を入れたりする必要があります。この作業の手間を惜しんで、「うまく出来たし、人の意見なんかいいやー」とチラシを配布してしまうのはご用心。自分は全貌を把握しているため抜け落ちている情報に気づかず、反応率が下がる可能性があります。
耳が痛い、細かい作業ですが素直な気持ちで修正しましょう。
チラシの完成!
ごくろうさまでした。チラシの完成です。あとは最適なタイミングで配布を行ってください。
よい効果が得られますように!
事例……効果的なチラシ
参考までに……
既存のチラシを、基本をきちんと見直したことで反応率が変わったケースもあります。
その記事はコチラ▼
ちょっと変則的な作りですが、チラシの企画内容が読者の心に届いたことで、期待を上回る成果が出たケースもあります。
その記事はコチラ▼
適切な作り方をすることで、チラシの反応率は上がります。
今お使いのチラシがある方は、今回の記事の内容に照らし合わせて、チェック&改善してみてくださいね。
それでも自分ではうまく作れない……という方へ。
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そのアクションが現状打破のキッカケに繋がりますように。